歯周病の母子感染について

歯周病の母子感染について

歯周病の母子感染

歯周病は細菌によって引き起こされる炎症性疾患の総称です。

口の中に歯周病をひき起こす細菌は

P.g.菌(Porphyromonas gingivalis)
T.f.菌(Tannerella forsythensis)
Td.菌(Treponema denticola)
P.i.菌(Prevotella intermedia)
A.a.菌(Actinobacillus actinomycetemcomitans)

など10種類以上がわかっています。

P.g.菌、T.f.菌、Td.菌は歯周病が進行している人々のほぼ60~70%から発見される菌で、Red Complex(レッドコンプレックス)と呼ばれます。
これら3菌種は重度の歯周炎に最も影響を及ぼしていると言われています。

本日の話題は、「歯周病は母から子にうつるのか?」です。

そもそも、生まれたばかりの赤ちゃんは歯も生えていませんし、虫歯菌や歯周病菌とは無縁です。
では、子どもの口の中にこれら細菌がどのようにうつり、定着するのでしょうか。
その答えは「唾を介して」です。

例えば、愛情表現のキス、食器の共有、口移しで食べ物を与える等の行為によって、虫歯菌・歯周病菌がうつる可能性があります。

ただ、歯周病菌はほとんどが嫌気性菌(空気が嫌い)なので、歯周ポケットの深い歯等、空気にさらされないところにしか存在することができません。
子どもの歯は歯周ポケットが浅いので、歯周病菌が定着することは稀ですが、食べ物の口移しなどで感染する可能性はゼロではありません。
虫歯菌は歯周病菌よりもうつる可能性が高いので、なおさら気をつけなければなりません。

では、歯周病を予防するにはどうしたら良いでしょうか。
予防するためには、食事後の歯磨き等でお子さんの口の中をきれいにケアしてあげること、そしてお母さんの口の中の歯周病のケアをすることです。毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、定期的に歯科医院でクリーニングされることをおすすめします。

女性はホルモンバランスの関係もあり、人生で歯周病になりやすい時期というのが、初潮時・妊娠時・更年期の3回あります。
この時期は歯ぐきが敏感になっており、ケアを怠ると歯周病が進行する可能性があります。
また妊娠中の女性が歯周病だと、早産や低体重児を出産するリスクが7倍にも上がると言われています。
女性のほうが男性より歯周病に注意する必要があるのは事実です。

お母さん自身や大切なお子さん、ともにお口の中の健康を守るためには正しい知識を身につけ、予防することが大切です。